強制執行手続

Q.支払が滞って、強制執行をしたいときは どうすればいいですか。

A.公正証書に基づいて強制執行をする場、① 送達と② 執行文付与の手続が必要です。

1.送達
  「送達」とは、法律の定める方法により債務者や保証人に対し公正証書の謄本を送付・到達させることです。相手が公正証書の謄本を事実上所持しているだけでは送達したことにはなりません。その目的は、債務者等に書類の内容を確認させ、送付の日時などを明らかにして後日の紛争を防ぐことにありますから、どのような書類が、いつ、どこで、誰に、どのようにして交付されたかを明確にしておく必要があるのです。
  公正証書作成時に公証人から債務者に手渡しただけでは送達したことにはならず、送達申請をするなど定められた手順を踏む必要があります。

  送達には、「交付送達」と「郵便による送達」があります。

 ♦ 交付送達

  交付送達による場合は、公正証書作成時に、公証人役場内で行わなければなりません。債務者等の本人が出頭して証書を作成した場合のみ、交付送達を行うことができます。代理人に対する送達は法律上認められていません。手続としては、① 債権者(又は債権者代理人)が送達申立書に記入し、② 債務者等が公証人から公正証書謄本を受け取る。その後、③ 公証役場から送達証明書を発行することができます。

 ♦ 郵便による送達

  作成当日でなく後日送達する場合や、債務者等の本人が出頭せず代理人で証書を作成した場合は、交付送達はできませんので、郵便による送達を行うことになります。その場合、① 債務者等の現住所を確認する(住民票や戸籍の附票等があれば最適)、② 債権者(又は債権者代理人)が送達申立書に記入し、公証人役場へ提出し、③ 公証人が債務者等宛てに特別送達で公正証書の謄本を送ります。
  その上で、 債務者等が受け取ったら送達が完了し、 郵便局からの通知が公証人役場に届き次第、送達証明書を発行することができます。
 

2.執行文付与

・ 交付送達の場合は、その場で執行文付与の申立てを行うことができます。
・ 郵便による送達の場合は、債権者が公証人役場へ公正証書の正本を持参し、執行文付与の申立てを行います。(この場合は公正証書作成の日から少なくとも1週間以上あけます。)⇒ 公正証書正本の後ろに執行文を付けて返却されます。

✿ 送達・執行文付与の手数料
✿ 公正証書謄本等の送達  1,400円
        送達証明   250円
      執行文の付与  1,700円(承継執行文の場合はさらに 1,700円加算)
     特別送達郵便料   実費 (1,110円~1,130円程度)


3.強制執行の申立て

  強制執行そのものは、公証役場ではできません。債権者が、執行文の付いた公正証書正本と送達証明書などの必要書類をそろえて地方裁判所へ赴き、債務者の給与などの強制執行の申立てを行います。

裁判所HP / 公正証書に基づく強制執行の手続に関するページ

裁判所HP / 公正証書に基づく強制執行(養育費)の手続に関するページ

 
【用語の説明】

(1) 公正証書正本
  公正証書正本とは,債権者と債務者が合意した内容を公証人が書面にしたもので、「これは正本である。」という公証人の認証が入っているものです。「これは謄本である。」という認証が入っている文書(これを「公正証書謄本」といいます。)では給料の差押えはできません。

(2) 執行文
  上記公正証書正本の末尾などに,「債権者は,債務者に対し,この公正証書によって強制執行をすることができる。」という「執行文」が付与されているか確認してください。執行文は,申請をしなければ付与されません。付与されていない場合には,公証人役場に「執行文付与の申立て」を行ってください(手数料がかかります。)。

(3) 送達証明書
  送達証明書とは,公正証書正本(または公正証書謄本)が相手方に届いていることを証明する文書のことです。送達証明書は申請しなければ交付されません。送達証明書が手元にない場合は,公証人役場に対し,送達証明申請を行い(手数料がかかります。),送達証明書を取得してください。

(4) 戸籍謄本(全部事項証明書)等
  公正証書正本に記載された当事者の氏名(債権者,債務者とも)が現在の氏名と異なる場合には,公正証書正本に記載されている氏名と現在の氏名のつながりが分かる戸籍謄本等の提出が必要です。

(5) 住民票,戸籍附票
  公正証書正本に記載された当事者の住所(債権者,債務者とも)と現在の住所が異なる場合,公正証書正本の住所と現在の住所のつながりが分かる住民票や戸籍の附票の提出が必要です。